本:篠田節子



2002年

弥勒 
著者名篠田節子
出版社名講談社文庫
備考ヒマラヤの小国・パスキムは、独自の仏教美術に彩られた美しい王国だ。新聞社社員・永岡英彰は、政変で国交を断絶したパスキムに単身で潜入を試みるが、そこで目にしたものは虐殺された僧侶たちの姿だった。そして永岡も革命軍に捕らわれ、想像を絶する生活が始まった。救いとは何かを問う渾身の超大作。
感想最初は、永岡が難関を乗り越えて結果的にパスキム美術展を開くことのできる話かと思った..が、とても深いお話だった。パスキムに潜入してからの状況は想像するととても恐ろしく、すごく残虐な中にそれぞれの心を感じる部分も伝わり、誰が一番正しいのか、永岡と同じような気分になった。最後には永岡の決めた生き方は、話の流れから自然と感じられるような気持だった。
お友だちお勧めの本だったが、まず自分では選ばなかったような内容だ。でも、話がすごく深いもので、サスペンスではないけれど、今まで読んだ本の中で一番怖かった気がする。それはサスペンスの怖さとは違い、実際にこういう情勢に近い国があるのかもしれない..と、非現実的な内容のようで現実に起こり得る気がしたからだ。お勧めの作品。(作家別読書一覧で☆マークにしなかたのは、内容的には☆だが、やっぱり怖かった...)


レクイエム 
著者名篠田節子
出版社名文春文庫
備考「腕を一本、芋の根本に埋めてくれ」大教団幹部の伯父から託された奇妙な遺言。謎の答えは遠い異国の大自然に埋もれていた。衝撃的な事実が神秘の世界を呼び起こす表題作ほか、幼児虐待の不気味さを描く「コンクリートの巣」など、別世界への扉を開けてしまった孤独な現代人の心の闇に迫る六つの幻想短編集。
感想現実には起こりそうにないミステリーと違い、この短編集はどれも実際に起こりそうな話なので、本当の怖さがある。短編集とはいえ、ずしっとくる作品ばかりです。